挫折の中のあなたへ
「昔の自分を取り戻したいって思ってる」。
今期やっている『はるかなレシーブ』というアニメの第3話のサブタイトルである。
『はるかなレシーブ』は、女子高生達がビーチバレーをする物語だ。
サブタイトルは3話内の、登場人物の1人"かなた"が口にするセリフ。
かなたは過去にビーチバレー全国優勝をした経験をもつ。
しかしその後、あることがきっかけでビーチバレーから逃げ、距離を置いてしまう。
「昔の自分を取り戻したいって思ってる」は、そんなかなたが、前向きにビーチバレーと向き合っていた過去の自分に戻りたいという意味で言った言葉だ。
ときに、人は人生で三度の挫折をするらしい。
かなたにとってビーチバレーから逃げてしまった経験は挫折とカウントされるのであろう。
人がなにかしらの輝かしい結果を残し、そのあと大きなスランプ、挫折を経験する。
よくある話ではないだろうか。
これを読んでいるあなたも、身に覚えがあるのではないだろうか。
まだ挫折の経験のない人は、有名なスポーツ選手を想像して考えてみて欲しい。
例えばジュニア時代に輝かしい成功を連発し、次第に結果を残せなくなっていき、表舞台から去っていく選手。
ごろごろいるだろう。
私は三度の挫折のうち、最初の一つを経験済みだと自分では思っている。
挫折真っ只中、苦しみ真っ只中で考えたことはやはり、「昔の自分を取り戻したい」。
かなたのセリフと全く同じことだ。
「あの頃はどうしてうまくやれていたのだろう」
「あの頃はどうやっていたのだろう」
思い出そうとして、同じようにやろうとして、
それでもやっぱりできない。
当たり前だ。時の流れは遡れない。
昔とは、自分も、環境も、なにもかも変わってしまっているのだ。
同じようにやろうとしてうまくいくわけがない。
人が挫折から抜け出し、また前を向いて歩けるようになったとき。
それは「昔の自分を取り戻した」のではないのだ。
やはりあくまで「自分をアップデートした」のだ。
言ってみれば、昔の自分よりさらに上の自分になったということ。
成長、という言葉がしっくりくるかもしれない。
「挫折が人を強くする」とはよく言ったものである。
挫折を経験する前までは、これは美談、建前、綺麗事だと思っていたが、これは真実だ。
挫折の中、苦しみの中にいるあなたは、
この苦しみの期間を乗り越えたとき、必ず、新しい素敵なあなたになっている。
自分をアップデートしよう。生まれ変わろう。
『はるかなレシーブ』4話以降、
かなたは前向きにビーチバレーと向き合えているようだ。
かなたはかなたなりにアップデートしたのだと、私は考えている。